ブッダに学び、解脱を目指す。

「ディフェンスラインを上げろ!」というタイトルから、「ブッダに学び、解脱を目指す。」というタイトルに変更しました。私の関心が、仕事から人生へと変わったからです。とは言っても、このブログのテーマは、仏教ではありません。自分が幸せになるために、他の人たちにも幸せになっていただくために、釈尊に始まる仏教の智慧、哲学のアプローチ、心理学の知識を学び、活用していきたいと思います。

武士道エイティーン

 香織と早苗の視点を交互に入れ替えながら進んで来た物語。それはそれで同じ頃に異なる場所で起こっている出来事を見比べたり、同じ出来事を表と裏の両面から観たりするという楽しみに溢れていたのだが、この『武士道エイティーン』では、二人の視点に、早苗の姉である緑子、香織の師匠である桐谷玄明、早苗の指導者である吉野、香織と早苗の後輩である美緒の視点が加わって、いままで謎が多かった二人を育んだ背景と人物、二人を更に成長させてゆく人間関係の輪郭が徐々に明確になっていく。誰もが、それぞれの武士道で人生を選択してゆくのである。

武士道エイティーン (文春文庫)
武士道エイティーン (文春文庫)
文藝春秋
Digital Ebook Purchas

 乱暴だが一途な香織、天然だが芯の強い早苗、ドライだが優しいレナ、お調子者だが献身的な美緒。この物語には嫌な登場人物がいない。いや吉野先生の幼馴染、直美を傷つけた井上だけは例外だった。何故だろうと考えてみたら、小説には付き物の「欲のために人を騙して利用するような人物」がいないのだ。誰もが自分の目的を真っ直ぐに見詰め、到達するために厳しい研鑽を惜しまない。共に戦う仲間、競い合う仲間に敬意を表することで、お互いの尊厳を守る。師匠や教師は生徒を導き、先輩は後輩を鍛える。こんなに清々しい物語に出会えたことが嬉しい。

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