ブッダに学び、解脱を目指す。

「ディフェンスラインを上げろ!」というタイトルから、「ブッダに学び、解脱を目指す。」というタイトルに変更しました。私の関心が、仕事から人生へと変わったからです。とは言っても、このブログのテーマは、仏教ではありません。自分が幸せになるために、他の人たちにも幸せになっていただくために、釈尊に始まる仏教の智慧、哲学のアプローチ、心理学の知識を学び、活用していきたいと思います。

武士道セブンティーン

 2020年8月に入ってから『武士道シックスティーン』『レイジ』『疾風ガール』と誉田哲也さんの本を読んできた。


 この『武士道セブンティーン』は『武士道シックスティーン』の高評価にあやかろうという作品なのか?という一抹の心配があったが、第一章の途中まで読んだところで、それがまったくの杞憂であることがわかった。香織や早苗との再会がとても嬉しいが、それだけでなく、新たに台風の目になりそうな、美緒の存在も不気味?だ!それにしても、誉田さんが描く女子たちの心情は、本物のようだ!


 いつもと違う「お盆休み」の最終日を使って『武士道セブンティーン』を読み終えた、いや、読み終えずにいられなかった。剣道という世界で高校生の女子が繰り広げる物語という枠はあるか、剣道は、武道なのか、スポーツなのかという問いは、人の営み全てにおいて、生き様を問う大きな問いでもある。余談だが、巻末に収められる藤田香織さんの書評が、模範的で勉強になった。


 前作『武士道シックスティーン』で香織は、全中二位という不本意な判定を拭うために出場した市民大会で無名の早苗に敗れてしまった。同じ高校に進学し研鑽を重ね終盤で、ようやく理解し合えたように見えた二人であったが、この『武士道セブンティーン』では、のっけからギクシャクし始める。


 しかし、相手を想い気遣う気持ちは離れているほど強くなるのかもしれない。早苗が出逢う新たな登場人物は、その強い個性で、漠然としていた早苗の信念を呼び覚まし、早苗は、より一層、香織への思いを募らせるのだった。

武士道セブンティーン (文春文庫)
武士道セブンティーン (文春文庫)
文藝春秋

 剣道という世界で高校生の女子が繰り広げる物語、という枠はあるが「剣道は武道なのかそれともスポーツなのか」という問いは、人の行い全てにおいて、生き様に迫る大きな問いでもあるような気がした。


 実は既に『武士道エイティーン』を読み進め、この物語が単に香織と早苗の成長譚を楽しませるだけではなく、誉田さん自身の問いと応えを背負っていることに気がついてしまった。この作品と出逢った切っ掛けは、今思えば奇跡のような偶然だったが、私たちの人生も、登場人物たちと同じように、偶然の悪戯と選択という必然の積み重ねなのかもしれない。

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