哲学ってなんだ
世界を知るということは、自分の理解、自分と他人の関係のあり方を了解すること………
私たちは、青年期に、自分の生がたった一度に限定されていること、自分こそこの生の取り換えがたい主人公であること、つまり、自分という存在の絶対的な交換不可能性に気づく哲学は、そんな私たちに、誰もが納得できる「普遍的」な世界理解のあり方を“作り出す”ための方法を示す。しかし、哲学は、あくまで“自分で考える”ための方法であり、自分が属している関係自身を支えるために考えよ、と教えるものだ。
世界を知るということは、世界それ自体を知るということではなくて、世界についての自分の理解のありかた、また自分と他人の関係のあり方を了解するということなのである。
私達は、世界をありのままに知ることはできない。私達個々の経験から得た知識や常識というフィルターを通してしか、知ることはできない。だからこそ、世界をより正確に知りたいと思ったら、知識を繋ぎ合わせ、事実に近づかなければならない。自分自身を見つめ直して本質に近づかなければならない。