サブリミナル・インパクト
本人も与り知らない無意識の認知メカニズムの存在が、ヒトの本性を規定するとともに、現代社会に特有の諸現象にも深く影を落としている。日常の行動のかなりの部分が、無意識の仕組みにになわれている。自由な意思による選択にも無意識が関与している。習慣化した行動やからだの慣れが、理性的判断を裏切ることもある。
人間の記憶の大部分は、むしろ潜在的である。人のからだは、感性的な判断が働く前に、からだの生理や記憶が反応してしまう。大脳皮質の高次レベルの認知機能とは無縁のところで、さまざまな身体の適応機能が働いている。しかも、低次や皮質下の働きは自覚されにくい。そのため無意識の優位反応を練習で培い、期待した結果が得られるように「練習は本番のつもりで。本番は練習のつもりでやれ」などと言われるのである。
2012年6月11日 紀伊国屋書店 流山おおたかの森店で購入
1996年10月25日 初版、2011年3月25日 第14版