デザイン思考の道具箱
・慶應大学院の教授が書かれた本ということで、難しいのかな?と思ったら、
章立てが絶妙で、とても解りやすいです。きっと一流の教授になると、
難しいことを噛み砕いて説明するのも上手いのでしょうね。
先に手に入れた『クリエイティブ・マインドセット』に手をつけないうちに、
また新しい本を手に入れてしまいました。
著者の奥出直人先生は、慶應義塾大学院メディアデザイン研究科の教授で、
多くの企業にイノベーション・コンサルティングをおこなっているそうです。
いつのまにか忘れられてた手法?
①現場に行き直接消費者を観察する。
②観察をもとに仮説を立て、プロトタイプを繰り返しつくって考え
アイデアを出すことでコンセプトを明確にし、物語をつくる。
③何を省いて何を実装するか考える。④出来るだけ早く商品や
サービスを市場に出して反応を見る。というデザイン思考…
1970年代の終わりから1980年代の初め(37~39年前!)にかけて、
桑沢デザイン研究所で工業デザインの教育を受けた私にとって、③までのプロセスは、
普通のこと、このようなアプローチは、当たり前だろう!と思うようなものですが、
多くの会社のトップは、経営の効率化とマーケット・イン思考なんですよね。
デザイン思考は、商品・サービスの開発が、販売を目的とする初期の
マーケティング手法によってコントロールされている企業で、
いつのまにか忘れられてた手法なんですね。
トップ自身がデザイン思考でないと……
エンドユーザーに使っていただく商品やサービスを提供している企業であっても、
中長期的な開発方針を立てるでしょうし、次の期が始まる3ヵ月前に新製品の
開発にかかる予算を決めなければならないと思いますので、デザイン思考に
求められるフットワークの軽さを実現することが難しいでしょうね。
そして何よりも、デザイン思考を実行しイノベーションを起こすことが出来る
組織は、トップが気がついているんですよね。
顧客はドリルではなく、穴(孔)を求めている。
現在消費者は映像や音楽などのコンテンツとハードウェアの
継ぎ目のない関係を求めている。
これは、よく言われる《顧客はドリルではなく、穴(孔)を求めている》
という話に通じる話だと思いますが、モノそのものを求める時代から、
コミュニケーション(表現)を求める時代(モノは手段)に変っているんです。
顧客が求めているのは、自分のファンをつくる手段なのかもしれませんね。