ザ・ゴール
- ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
- ダイヤモンド社
- 本
2011年09月04日の記録…
物語りは、工場の収益体制を改善させるための新しい考え方と手法を中心に繰り広げられる。経営者が気づきにくい問題や、大きくなった企業が陥りがちな問題の解決策が示されている。厚みがあるので、躊躇してしまうかもしれないが、内容は明快で物語りも面白いので、読み始めるとグイグイ引き込まれ、あっという間に読み終えてしまう。しかも、読み終わった後には、収益体制を改善するために新しい考え方と手法が頭に入っている。この本を読まない経営者や工場長がいるとしたら、著者より優秀な人物か、まったく無能な人物かのどちらかであろう。
エリヤフ・ゴールドラット博士は「企業の目的は利益である」と言い切っている。言うまでもないが、それは従業員を酷使したり、品質を疎かにしたりすることではなく、全体最適を追求することと、持てるリソースを最大限に有効利用することによって、効率的に高品質の商品を造り(創り)供給するためのコンセプトだ!逆の言い方をすると、企業が利益を上げる事が出来れば、研究開発費も捻出しやすくなり、イノベーションも起こりやすくなるということだろう。より良い商品が開発され、顧客満足に繋がり、社会も良くなるのである。
しばらくすると何が書いてあったか忘れてしまう本が多い中で、ザ・ゴールは、4年前に読んだときの記憶が鮮明に蘇る程の名著だ。多くの具体的な例が掲げられた本は、応用が効かないが、ザ・ゴールは、考え方を示しているので、その概念を自分の仕事に応用することができる。エリヤフ・ゴールドラット博士が示しているのは、表面的なテクニックではなく、理念に裏付けられたパラダイムなのである。