臨機応答・変問自在
臨機応答・変問自在―森助教授VS理系大学生 (集英社新書)/集英社
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森さんが助教授だった頃、学生を彼らからの質問で評価していたらしい、とても難しそうだし、大変そうだ。そのような配慮にどれぐらい手間がかかり、どれぐらい効果が得らたのか、そっちの方も気になる。
確かに「試験で学生を評価する」という当たり前の方法は「学んだことを憶えているか否か」ということは確認できても、学生たちが社会に出てから出会う「自ら課題を発見する能力」を問うことはできないかもしれない。森博嗣さんはあえて面倒な方法をとることによって、学生たちに「本当に求められる能力とは」という問いを投げかけたのかもしれない。
世の中の仕事も、生活して行くことも、人生とは、無数の選択肢から、自分がやりたいこと、やらなければならないこと、できることを選択し、それを実行していくという積み重ねだと思う。森博嗣さんは、生き抜くための力を持っているか否かを評価するべきだ。と思っていたのかもしれない。
この本は、その質問と森さんの回答をまとめたもの。この評価方法に対する不満が噴出しているかのような質問や、大学生ってこんなに幼稚なの?と思ってしまうような質問が少なくない中で、森博嗣さんが「いい質問」と評するものも紛れていて面白い。特に最終章の「森自身に対する質問」の冒頭「教師が学生に関心を持たれることは重要かもしれない…教師は自分を演出しなければならない…」という記述があり、他人の評価を気にしていないはずの森さんのもう一つの側面が現れていて興味深い。