レタス・フライ
過去1年間に読んだ本の内訳を確認すると、森博嗣さんの著書が
70%以上と偏っている。それほど、森先生の作品に嵌っています。
S&Mシリーズ全10巻、Vシリーズ全10巻、四季シリーズ全4巻、
Gシリーズ(これまで)8巻、Xシリーズ(これまで)3巻、を
読んできました。
短編集は、この『レタス・フライ』が5巻目です。
私の印象では、森先生の作品は、ライトノベル的なのですが、
森先生ご自身が、非常に哲学的な思考をされる方のようで、
主要な登場人物たちの言動も、哲学的で、そこが魅力です。
この『レタス・フライ』の冒頭に収録されている「ラジオの似合う夜」は、
そんな森先生の思考や感情が客観的に描写された作品なのではないか?と
推察いたします。
森先生と、私が今まで読んできた他の作家さんとの違いは明確です。
他の作家さんが、あくまでご経験を通して現実世界を拡張し、
描くという手法をとっているのに対し、森先生は、抽象的な思考から
出発しているような気がするのです。
上手く表現が出来ないので、言い方を変えると、他の作家さんが、
外部の世界を客観的に描こうとしているのに対し{それでも自身の
内面(思考)を描いているということには変わりありませんが…}、
森先生は、自分の最初から自分の思考を客観的に描こうとしているように
感じるのです。
私が感じていることを上手く伝えられるようになるのには、
もうしばらく時間が必要かもしれません。