書くことが思いつかない人のための文章教室
著者の近藤勝重さんは、毎日新聞の論説委員、サンデー毎日と毎日新聞夕刊の編集長を歴任された方。「いい文章とは?内容があるということ、その内容が的確に表現されていること。体験こそが文章の最も大きな源泉、作文というのは、記憶化された自分自身を言葉にする作業。」と書くことを思いつくところから表現する技術までが克明に書かれている。そのため、読んで満足というよりも、要点をノートにとりながら読んだ方が良い、まるで教科書のような内容だった。
いい文章=「独自の内容」+「伝わる表現」…確かに、この読書メーターに登録する感想・レビューだって、既成概念にとらわれたものよりも、独自の視点から見たものの方が、読む人の興味を引くでしょうし、それが伝わるように表わされていたら素晴らしいですよね('◇')ゞ
「文章を書くというのは結局のところ人間とは、生きるとは、そして人生とは、と考えつつ、日々のよしなごとを書いて、それらの答えに少しでも近づいていくこと…」という言葉は、文章を書く前に身構えてしまいがちな私たちの方の力を抜いてくれる…
私は、ついつい難しい言葉を(調べてまで)使おうとしてしまいますが、近藤勝重さんは、「文章はやさしい、普通のことばを使うのが一番です。それが一番読みやすく、伝わる文章なのですね。」と書かれています。そうなんです。背伸びして、自分の知性を感じさせるのが目的ではなく、何かを伝えるために書いているんですものね(^^ゞ
おすすめの文章の組み立て方は、現在・過去・未来の順に書いていく方法だそうです。今の状況、今の状況をもたらした背景、その状況が今後どうなるのかを、その順で書いていけば話の筋が組み立てられるとのことです(^▽^)/
私は、主語を省略することに抵抗がありますが、近藤勝重さんは、「主語を省略すると文章がきりっと引き締まって何だがよくなったような気がするんですね。なくても意味が通じる『私』は取りましょう。」と書かれています。悩ましいですね(^^ゞ
なんだかんだ言っても、私たちは、大人たちの会話を聞いて、言葉を憶え、読んできた本から文章の書き方を学んできたわけです。ある英語の教則本に、「良い英語をインプットすれば、良い英語を話せるようになり、悪い英語をインプットすると、悪い英語しか話せなくなる。」と書いてありましたが、日本語でも同じですよね。良い日本語をインプットしたいものですね。
2016年、私は、森博嗣さんの小説に嵌って、多くの作品を読んできたわけですが、森博嗣さんの作品は、いつの話なのか分からない時があるんですよね。それはある意味“叙述トリック”と言っても良いのだと思いますが、近藤勝重さんは、新聞の人!?なので「あれは十五年前のことだった」など時の流れがわかるように、と書いています。まあ、ミステリーでなければ、事実が克明になるように書いた方が良いわけですよね。
近藤勝重さんは、ふっと浮かんだことやネタになると思えるものを書き留めているそうです。メモ魔であるという習慣が、逆に物事を観察する眼を研ぎ澄まし、普通の人が見逃してしまうものを捉える力に繋がっているのでしょうね。