人生にはやらなくていいことがある
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タイトルに惹かれて柳 美里(Yu Miri)さんのプロフィールの知らないまま、読みたい本に登録していたのですが、昨日(9/20)、ようやく手に入れることができました。
私を惹きつけたタイトルは、担当編集者である小島博人さんが、柳 美里さんに提出した企画書に既に書いてあったそうです。この本は、柳 美里さんが語った人生をライターの辛島いずみさんが構成し、柳 美里さんが書き直したものだそうです。さて柳 美里さんを動かしたタイトルが掲げられた本の内容は何か…。
美里さんは、私が生まれた1958年から丁度10年後の1968年、在日韓国人の両親の元に生まれました。この本の中では描かれる半生は、言葉が少ないために、読者の想像力の中で夫々立ち上がるのではないかと思うのですが、私の瞼には、かなり壮絶なものが映りましたが、美里さんの人生は、常に全力だったように見えました。
この本を読んで、私は「向いていない多くのことを潔く諦め、残された唯一のものをやればいいのだ」と勇気づけられました。
柳 美里さんにとって、唯一のものは、書くこと。美里さんは「話すことや書くことによって、自分が体験したことや自分が思っていることを自分の外に出さなければ、物語は生まれないのです。」と書いていますが、それは、私にとっても同じことだろうと思います。書かなければ、体験は、頭の中をグルグル回るだけで、壁を登るための足場として刻まれることはありません。分類は、エッセイかもしれませんが、ミステリアスでした。
愛しながらも愛する術を知らない父、愛するが故に自らを犠牲にしてまで洗練されていない価値観・行動原則を押し付けてくる母に育てられた美里さん。兄弟姉妹は、どのように育ったのだろう?そんな知らなくても良い疑問がもたげました。
人間は、他者との関係の中で特定される。コトバは異なりますけど、多くの方が仰ることです。美里さんの人生を見ると、良くも悪くも人は他者との関係の中で成長する。幸せなことは、その他者が人間として賢いことではなくて、自分に対する愛を持っていることなのだと解ります。