『考える力は「分散」と「発散」から生まれる』
- 集中力はいらない (SB新書)
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森先生は、冒頭でご自身の経験を振り返っている。この自分の過去を可能な限り客観的に見詰めるという行為が、普通?の人と、森先生のように世に出る人を隔てる要素の一つであるような気がする。
普通の著者(著者というだけで普通じゃないが)は、ターゲットの読者に好かれるように、自分を演じるのではないかと思うのですが、森先生は、わざと世間体が悪いというか、普通は隠したがるような本音の方に振っている。
『創るセンス 工作の思考』以来、1年ぶりに読む森先生の論は、相変わらずキレが鋭く、更に鉈のような力強さが加わっていた。手に取った人にインパクトを与えることを狙った『集中力はいらない』というタイトルよりも、4章の『考える力は「分散」と「発散」から生まれる』というタイトルの方が相応しい内容でした。集中とは思考を排除するものであり、知識を得ることを考えることと勘違いしないようにと、読者を戒めている。
私は、2016/12/1に『工学部・水柿助教授の逡巡』を読了して以来、森先生の小説を読んでいないのですが、また読んでみたくなってしまいました。《社会においても、考える人が格段に有利になります。仕事であれば成功するし、周囲から認められるでしょう。自分の好きなことがしやすなります。自由になれる。》