ブッダに学び、解脱を目指す。

「ディフェンスラインを上げろ!」というタイトルから、「ブッダに学び、解脱を目指す。」というタイトルに変更しました。私の関心が、仕事から人生へと変わったからです。とは言っても、このブログのテーマは、仏教ではありません。自分が幸せになるために、他の人たちにも幸せになっていただくために、釈尊に始まる仏教の智慧、哲学のアプローチ、心理学の知識を学び、活用していきたいと思います。

 ジグβは神ですか

ジグβは神ですか JIG β KNOWS HEAVEN (講談社文庫)
ジグβは神ですか JIG β KNOWS HEAVEN (講談社文庫)
講談社
2015-10-15

 赤柳が、保呂草の知り合いで、Vシリーズの『夢・出逢い・魔性』で登場した探偵と
 同一人物であることが判明する巻、私にとっては、βと真賀田四季との関係よりも、
 彼らの繋がりの方が、身近な感じがして興味深い。それにしてもGシリーズは
 「起」の章が延々と続いているような物語で、事件のHowが明かされないまま
 終わるので、スッキリしない。まあその分、砂羽が水野に、海月が加部谷に、
 椙田が水野に対して語る宗教についての考察が、それに傾倒しやすい者の心理を
 客観的に把握するために役立つツールとして提供される。事件は脇役なのだ。


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キアズマ

キアズマ (新潮文庫)
キアズマ (新潮文庫)
新潮社
2016-02-27

 あらずじ…
 正樹は、自転車部の部長を怪我させてしまうという事故を切っ掛けに、
 1年限定で自転車部に所属することになった。やがて自分の才能に目覚め、
 自らの過去と葛藤しながらも、レースに挑んでいく。


 『エデン』の舞台であるツール・ド・フランスよりも明らかに小さい
 舞台にも関わらず、登場人物の心の中に深く入り込むことによって
 無限大の世界観が描かれ、そのスピード感も勝るとも劣らない。


 近藤史恵さんは、チカには封印させていた勝利への渇望を正樹には
 解き放つことを許す。命を削るように走る櫻井も、正樹に訪れた
 チャンスには惜しみなく手を貸すのであった。


 読んでいる途中でも、つぶやきたくなるほど興奮しました^^;A


 国内のレースだと、周回コースになってしまう。というのも興ざめですけど、
 サイクルロードレース特有の、アシストに守られたエースが疾走する。
 という絵面にならないのも残念です。さらに、ゴール前のスプリントが
 激しいのもどうなんだろう?


 いやあ、まだゴール(読了)していない時点でも、買って良かった!
 読み始めて良かった!と思えた作品でした…『サクリファイス』から
 始まって4作目なのに全くマンネリを感じさせない!
 世界は狭くなっているのに、物凄く深くなっている。


 ミステリーは面白いけど、やっぱり主人公の成長譚ほど面白い読み物は
 ないのだと思う。それとも最後の最後で、読者が無意識に孕まされた
 謎が解かれるのか?周回が重なる程、駆引きが繊細になって、
 ゴールが近付くところで、残された力を振り絞りスプリントする
 レースのようだ。そのコーナーを曲がった先にあるゴールにはいったい
 何が待っているのだろう?


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ヴァン・ショーをあなたに

ヴァン・ショーをあなたに (創元推理文庫)
ヴァン・ショーをあなたに (創元推理文庫)
東京創元社

 17日かけて、宮部みゆきさんの『ソロモンの偽証』というフルコースを堪能した
 私が、デセールに選んだのは、近藤史恵さんの『ヴァン・ショーをあなたに』…
 『ヴァン・ショーをあなたに』は、前作『タルト・タタンの夢』で主人公である
 三舟シェフが、心身共に疲れた人に差し出すホットワイン…


 難解な『ソロモンの偽証』に対してとても分かりやすい作品だけど、決して
 物足らないわけではなく、「天空の泉」に出てくる「トリュフ以外はなんにも
 はいっていないただのオムレツ」のように、それなのにこんなにおいしく、
 作り方を教えてもらって何度作ったとしても、この味にはならない味…
 2014年10月09日に読了


 近藤史恵さんの文章は、とても読みやすい。何故、読みやすいのかは、明確に
 言えないけれども、表現が平易なのだろう。徐々に明かされる三舟シェフが
 フランスで修行していた頃のエピソード。彼の料理や味についての知識が、
 事件の真相や謎を解き明かして行く。美味しいだけでなく、栄養も満点な
 作品だった。


 ヴァンショーをあなたに >> 二十三歳の冬、貞治は、ストラスブールという街の
 ユースホステルで寝込んでいた。今夜は少し深く眠れそうだと思った時、
 派手な音がを立ててドアが開き、昨日からこのユースにやって来た三舟という
 男が大きいリュックを引きずりながら入って来た。貞治の様子がおかしいことに
 気づいた三舟は、鰹節を小さな削り器で削り、味噌の袋とカットわかめを持って、
 キッチンにおりていき、貞治の目の前には、日本でも滅多に飲んだことがないような、
 うまい味噌汁が、まるで魔法のように現れた…


 天空の泉 >> ヒサコが、直訳すれば「空の上のコルド」という美しい名前を持つ町に
 やって来たのは、夏の終わりだった。<シェ・アルチュール>というレストランで、
 出てきたギャルソンに連れと間違われた彼は、三舟忍と名乗り、ぺリゴールの
 レストランで働いている見習いだと言った。ヒサコは、この人に話を
 聞いてもらいたいと思い「軽く聞き流して欲しいんだけれど」と「恋人が家を
 出ていったの」と打ち明けるのであった。ついに三舟シェフがフランスで
 修行していた頃の秘密が明かされる?


 氷姫 >> 圭一は、友人の妹である杏子に思いを寄せていたが、杏子からは、圭一の
 後輩である悠人と結婚するというメールが送られてきた。コンビニで働きだした
 悠人であったが、客と喧嘩してナイフで刺し殺してしまう。婚約は帳消しになり、
 圭一は、友人から「杏子を頼む」と言われ、杏子と暮らし始めるのであった。
 三年後、出所した悠人は、冷凍庫に入ったままだったという、杏子が愛用していた 
 かき氷器に使うアルミの丸い容器を、凍らせたままクーラーボックスに入れ
 持ってきた。外出していた杏子は、いつものように氷をかいたのだが…


 マドモアゼル・ブイヤベースにご用心 >> ソムリエの金子さんから「お茶でも
 飲まない」と誘われた高築は「三宅シェフ、好きな人がいるみたいなのよ」と
 聞かされる。相手は、金子さんと高築が、こっそりマドモアゼル・ブイヤベースと
 呼んでいる、ときどき、ひとりでやってくる二十代後半ぐらいの客、彼女は毎回
 必ずブイヤベースを頼むのであった。しかし、ある日、いつもよりおしゃれをして
 やってきた彼女は、三十代半ばぐらいの男性を伴っていた。高築には、心なしか
 シェフの表情が険しい気がしたのであった…


 ブーランジェリーのメロンパン >> ビストロ<パ・マル>のオーナー小倉が現れ
 「パン屋をオープンすることにした。ふたりの若い女性にまかせるのだが、
 カフェを併設するので、パンに合うメニューを考えて欲しいと」三舟シェフに
 依頼した。周到なリサーチを怠らない小倉だが、開店する場所の裏には、
 昔からやっている小さなパン屋があるのであった。シェフがふたりの女性に
 料理を教える日、気軽に買ってもらえるパンを増やしたいという店長の斎木と、
 あくまでもフランス風のブーランジェリーにこだわりたいという中江の意見が
 食い違うのであった…


 憂さばらしのピストゥ >> 三舟シェフが以前働いていた店で見習いをしていた
 南野から「オーナーシェフとして店を出すことになった」という知らせが届いた。
 ほどなく、以前から席を予約していた客から今夜にも関わらず「ベジタリアンで
 あることを言い忘れた」との連絡が入った。三舟シェフと志村さんは、バターと
 生クリームの代わりにオリーブオイルと豆乳を使うという機転でピンチを切り
 抜けるのだが、客から聞いた、南野の店で食べたフランス伝統というピストゥが
 美味しかったという話に顔を見合わせるのであった…


 錆ないスキレット >> 軽い気持ちから、黒い痩せた猫に蒸し鶏の残りを
 与えてしまった三舟シェフ。並はずれた猫好きで、家に四匹も飼っているという
 志村さんは「猫に餌をやるということは、責任ができるのだ」だから、責任を
 取ってくださいと、シェフに迫るのだった。 しばらくして、もらわれて
 行ったはずの黒い猫と茶色いトラ猫が厨房口に現れる。彼らは、ハンカチの
 ようなものを首に巻いていて、風呂敷包みを背負ったように首のうしろが
 膨らんでおり、その中には煮干しが入っていた。風呂敷包みを背負っている
 猫の姿を思い浮かべると愛おしい。


 Wikipediaによると、うま味(旨み、旨味、うまみ)とは、主にアミノ酸である
 グルタミン酸(だし昆布やトマトなどの植物)、アスパラギン酸や、核酸構成物質の
 ヌクレオチドであるイノシン酸(鰹節などの動物)、グアニル酸(シイタケ)、
 キサンチル酸など、その他の有機酸であるコハク酸やその塩類などによって生じる
 味の名前。5基本味の1つ。
 

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ふたつめの月

ふたつめの月 (文春文庫)
ふたつめの月 (文春文庫)
文藝春秋
2012-11-02
Kindle本

 近藤史恵さんは、優しい、そして、ちょっと意地悪だ。読者は、筋を辿りながら、
 久里子に、弓田に、赤坂に、こうなって欲しい、こうあって欲しいと願う。
 その願いは、裏切られることが多い、そう、より良い方に、または、より悪い方に、
 でもそこが、この物語りの魅力なのだ。ミステリーには、どんでん返しがつきものだ。
 その先に、より大きな悪が控えていることが多い、しかし、前作『賢者はベンチで
 思索する』と、この『ふたつめの月』は、謎の真相が、より穏やかという稀有な
 作品たちだ。読者は、最後に、ホッと胸をなでおろし、余韻に包まれる。


 この本を読んで思った。
 事件や謎の真相が「なんだそうだったのか」と肩透かしのような内容なのに、
 だからこそ「良かった」と思えるミステリーって他にないような気がする。
 だって、ほとんどのミステリーは、読者の想像を超えるボスモンスターを
 控えさせておくのが作家達の常套手段であるわけだから…
 でも、近藤史恵さんは違う。まるで、子守唄のように聴いた寓話の様に、
 あたたかい余韻に包まれながら、眠りの中に誘い込まれる。


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さいごの毛布

さいごの毛布 (単行本)
さいごの毛布 (単行本)
KADOKAWA/角川書店
さいごの毛布 (角川文庫)
さいごの毛布 (角川文庫)
KADOKAWA / 角川書店
2016-10-25
Kindle本

 『賢者はベンチで思索する』『ふたつめの月』を読み、心地よい余韻に
 包まれていた私は、犬繋がりで『さいごの毛布』を読み始めた。
 『サクリファイス~サヴァイブ』に続く『キアズマ』のように、
 登場人物は異なるのだが、同じような雰囲気を持つ作品なので、
 『賢者はベンチで思索する~ふたつめの月』の次に読むとよいと思う。


 あらすじ…
 「仕事に就けないでいた智美は、友人の勧めで老犬ホームに勤めることになった。
 働きだした初日、門の前に捨てられていたパピヨンを飼い主に返しに行った時、
 智美は、その身勝手さに憤りを覚え、自分で飼うと主張する。
 こうして智美の犬たちとの生活が始まるのであった」これも心暖まる話。


 家族であっても、家族だからこそ、気持ちがすれ違ってしまうことってある。
 素直になれない人間と違って、犬たちは自分の気持ちに正直だ。
 それは、思考がなくて、本能に突き動かされているからかもしれないが、
 もしかしたら、本能に突き動かされるような生き方をしている人の方が、
 言葉にはできなくても、幸せとはどのような状態を指すのかということを
 知っているのかもしれない。


 そして、そのようなある意味純粋な人達を利用しようとする人は、自分は
 利口だとだと思っているのだろうけれども、幸せの本質をしらないのでは
 ないだろうか?
 人間も、もしかしたら、自分の気持ちを素直に表現した方が
 幸せになれるのかもしれないそんなことを考えさせてくれる、物語りだった。


 人はもちろん、動物たちの命を大切に思えない人は、自分自身の命を大切に
 することが出来ないかもしれない。私は、bookoffの棚にあった「いのちの
 食べかた」を買うことができなかったが、私達の食材になるために命を
 奪われる動物たちに対しても、彼らの命を大切に思うことが必要なのかも
 しれない。一度は生活を共にしたペット達に対してならなおさらだろう。


 老犬ホームを舞台に繰り広げられる物語は、嫌でも私が初めて飼った猫、
 Dinahが星になった2012年9月を思い出させる…


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