原稿用紙10枚を書く力
- 原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)
- 大和書房
- 本
《「書く力」をつけることは、考える訓練になる》
人は「言葉を使って考える」という話を聞いたことがある。海の彼方に浮かぶ白い船を見た時、私たちは頭の中で「海の彼方に白い船が浮かんでいる」と言葉を使って認識するのだ。言葉を習得する前の乳幼児は、船を見ても、その状態を理解したとは言えない。だから、私たちは、言葉を知り、言葉を定義し、文章を構築することで、物事を理解する力を身につけていくのだ。
《クリアな文章というのは、読み手の頭の中にきちんとしたイメージなり、構図を思い浮かばせるものだ》
したがって、読み手の頭の中に、例えば「海の彼方に浮かぶ白い船」のイメージなり、構図を思い浮かばせることができる文章が良いということだ。読み手の勝手なイメージや構図ではなく、書き手がイメージしてもらいたい構図だ。そこには、海、距離、船の状態を適切に形容する言葉と文章の構造が求められる。
《内容の質はともかく、量をこなした自信が次につながっていく、量をこなせるということが書くエネルギーになっていく、まずは、書くことが苦にならない、苦にならないどころか量を書くことがおもしろくてしかたがない、そういう状態をつくっていくことが、質的に高いものをかけるようになるための最短の方法である》
読み手に書き手のイメージや構図を伝えられる文章は、量をこなすことで書けるようになる。テクニックを学んだからと言って、書けるようになるわけえはない。原稿用紙10枚を書く力の先にあるものなのだ。