小説家という職業
- 小説家という職業 (集英社新書)
- 集英社
- 2014-03-28
- Kindle本
森博嗣先生のこの手の本を読むのは『作家の収支』に続いて2冊目です。
森先生にとって小説を書くことは、作家になるためだったわけではなく、
趣味に使うためのお金を稼ぐ手段だったそうです。
しかし、「いざ小説を書き始めると、次から次へと発想が生まれ、
書いている物語はもちろん、次のこと、その次のこと、別のシリーズの
ことなど、どんどん発想される。そういう発想が、執筆の邪魔になる
くらいだ。」と書かれているように、やはり非凡な人なのだと思います。
その森先生からのアドバイスは、「とにかく、書くこと、これに尽きる」
森先生の言葉を言い換えると…
「作家と読者の違いは、シンガーソングライターとカラオケが上手な
人との違いのようなものなのかもしれません。カラオケで100点取れても、
作詞・作曲ができるようになるわけではありませんからね…」
また、森先生は「僕は、人が読んで理解しやすい書き方がどんなものかを
常に考えた。」と書いています。時として「難しい言葉を使うことが
高尚な文章を書くこと。」だと勘違いしているような文章に出会いますが、
森先生は「読んでくれる人に、書きたかったものが理解されること。
信頼は、コミュニケーションの確かさから築かれる。」と考えていました。
そして、森先生は、仕事の心構えを、このように書いています。
「まず自分で立てた予定を守ること...
1度でも破れば、10回守り続けてきたことが無になる。
信頼というのは、築くに難く、崩れるに易いもの。1回くらいは、と
考えているとしたら、それは信頼の意味がわかっていない
不誠実な人間である。どんな仕事をしても中途半端になるだろう。」
「他者を満足させるために、自分を犠牲にして書くのが
プロのもの書きである。」の二つが特に私の心に残りました。